①依頼者:50代
②婚姻:27年目
③子:成人済
④離婚訴訟
<相談前>
妻は結婚してから借金癖があり、依頼者の兄弟からも多額の借り入れがありました。身内だけでなく,第三者からも借入がありました。
ようやく返済が終わったと思った途端,また別の人からも借り入れていたことが発覚しました。
これが原因でケンカとなり,今までの溜まっていた感情を抑えきれず,手を挙げてしまいました。
その後妻は家を出て行ってしまい,以後全く連絡が取れなくなりました。
離婚をしたいが、相手方の所在が分からないため、藁にもすがる思いで前島綜合法律事務所に相談に行きました。
<相談後>
離婚の交渉として受任しました。まずは妻に連絡を取ることから始めました。
住所が分かりませんでしたが,携帯電話番号は知っていたので,弁護士から連絡をしてみましたが一向につながりませんでした。定期的に連絡をしましたが,一度たりとも妻と話すことはできませんでした。
住所を調査するも,住所は依頼者と同居時の住所のままで,移転の形跡はありませんでした。
依頼者が警察に捜索願の相談をしたところ,どうやらDVの届をしていたようで,そのような場合,捜索願は受け取ることはできないと言われました。
妻が家を出て行ってから2年ほどが経過しましたが,どうすることもできないため,公示送達による離婚訴訟を提起することにしました。
訴訟に移りましたが,相手方は姿を見せず,相手方不出頭により離婚の裁判が確定。離婚手続きをすることができました。
<コメント>
本件は相手方と最後まで連絡がとれないケースでした。このような場合,公示送達といって,相手方の所在等が分からない場合,裁判所の掲示板に呼び出し状を掲示して,相手方に送達したものと扱う制度を使います。
実質的には相手方が自分に訴訟提起があった事すら知らされずに判決が出てしまうことになるので,要件は厳しいものですが,本件は連絡が取れない,住んでいるところも分からない等の事情があったので裁判所にも認められる結果となりました。
また,訴訟における離婚手続きには法定の離婚理由がなければ離婚ができません(民法770条)が,今回の場合,その理由がある(婚姻を継続しがたい重大な事由)として,裁判所に認められました。